2008年3月31日月曜日

読書レビュー:勝間和代/お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践/光文社,2007.11


□金融はリスクに応じてリターンが生じる。
□リスク=計量可能でコントロール可能なものを指す。
□投資をすることで自分たちの住みよい社会を作ることが可能。
□土地の値上がりが小さくなってきた現在、住宅ローンと生命保険に頼っているだけでは資産形成が難しくなってきた。
□資産のリターンは、アセット・アロケーションでおおむね80%程度が決まる。
[外貨預金について]
□(外貨預金等の)金利について・・・金利の高い国=インフレ率の高い国 金利の低い国=インフレ率の低い国
 よって実質金利は実は通貨によってあまり変わらない。
□リスクリターンの観点から言えば円貨のみで運用するのは効率がよくない
[株式]
□市場は原則として効率的であり、個人が自分の力で割安銘柄を探すのはかなり難しい。
[不動産投資]
□住宅ローンによって特をしているのは銀行だけ
□住宅地の値上がり幅は世帯数の需給で決まるため、人口減少が始まった現在、住宅地の大幅な値上がりは期待薄。
□金融資産という考え方からいうと、土地の値段が上がりにくいときには住宅ローンを組むべきではない。その頭金で資産運用したほうがよい。
□一般に買ってはいけない住宅の最たるものが新築マンション。大規模な宣伝を行っているような大型分譲の新築マンションは特に注意。
□金融資産として考えるなら、新築マンションより中古マンションのほうが無駄な経費がかからない分有利。ただし、中古の場合は修理費など維持費がかかる場合があるのでその価値も加味しなければいけない。
□値上がりしない住宅 を前提として考えると、賃貸のほうがメリットがあることがありうる。
□もし住宅を入手したい場合は流動性の高い地域を選択する。一流大学の周辺など。
□住宅ローンを持つことの問題点の一つ=行動の自由が縛られること。
□政府にしろ住宅メーカーにしろ銀行にしろ、住宅ローンを組ませ、住宅を買わせようと情報操作している。そのほうが儲かるから。
□住宅ローンは定額払いのため、勤め先でリストラされたとか減給された場合、自己破産の原因にもなりうる。賃貸の場合はすむグレードを落とすことで対処できる。
[投信]
□売るほうにとって有利な商品と、買うほうにとって有利な商品は違う。
□まずは目論見書を読みこなせる程度に金融リテラシーを身につける必要がある。
□多くの一般の個人にとっては、プロ並みの知識とスキルを持っているという自信が無い限り、多少手数料が高くても投資信託を買うという方法が一番現実的。
[生命保険]
□終身型の保険を逓減型に変えるべし。
[コモディティ]
[デリバティブ]

□総合して・・・自分の資産を現金・預金として持つことは、リスク資産で運用するのと比べて大きな機会損失を生んでいる。

実践
□為替と日経平均の相関係数は0.89 = 円高になると株価が下がる

□金融で儲ける5原則
 第1原則=分散投資分散投資分散投資
 第2原則=年間リターン10%はものすごく高い 5%で上出来
 第3原則=ただ飯はない
 第4原則=投資にはコストと時間が必要
 第5原則=管理できるのはリスクのみ リターンは管理できない
□日本は少子化などの影響から、今後、世界に比べて成長率が高くなることが望めない。よって投資先としての日本株も魅力があるとはいいがたい。
□リスクを計量する一手法としてシャープレシオがある。
□投資原資の生み出し方=住宅ローンを組まない (都市部の人は)車を買わない 生命保険を定期逓減型にする
□投資原資は月々天引きにして自動的に積み立てるようにする。

金融を通じた社会責任の遂行
□個々人が金融リテラシーをもって投資するということ=資本主義社会の問題点を是正することになりうる
□資本主義社会の問題点=資源配分がうまくいかない 利益偏重に投資されるから温暖化環境破壊など起こる

□統計的には長期的にいって金融商品は値上がりする。人が勤勉によりよい生活を求め働いている限りは・・・。その活動を支えるためには誰かがリスクをとって資金的なサポートをする必要がある。それが金融。
□[金融はお金儲けのためだけにあるのではなく、私たちの生活を支え、社会をよりよくするための基礎なのだ」という観点から金融活動に興味を持ち、リスク管理された適切な投資活動を。